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TOO BIGのダウンジャケットの話

シャツ、チノパンに続き、“TOO BIG”シリーズからダウンジャケットが登場。ダウンなのにオーバーサイズ ?と思うかもしれませんが、昔はダウンといえば、こういうものが普通だったわけで……というのが今回の話です

長谷川昭雄

ファッションディレクター、スタイリスト。雑誌『MONOCLE』や『POPEYE』のファッションディレクターを歴任後、フイナムとともにウェブメディア『AH.H』を立ち上げる。2020年〈NAUTICA〉のクリエイションディレクターに就任。

“TOO BIG”シリーズの真打となるのが、ダウンジャケットです。まずはアイテムの説明からさせてもらいますね。

うん。

〈NAUTICA〉の過去のアーカイブにあった2つのダウンジャケットのデザインを引用したリバーシブル仕様で、片面は無地(または2トーン)、もう片面はカラーブロックという構成になっています。

俺は地味なものが好きなんだけど、たまに派手なものを着てみたいと思うことがあって。だから、地味な面と派手な面の組み合わせはいいと思うんだよね。

地味な面を表に着たときに、カラーブロックがチラッと覗く感じもいいですね。

当初はどちらも派手だったんだけど、もう少し組み合わせを考えた方がいいんじゃないか?という話になって、結局これに落ち着いたんだよね。

この地味な面の素材がいい感じですね。シャリっとした質感で。

昔の〈ACG〉みたいだよね。こっちの面はダウンっぽくない見た目だから、普通の中綿のジャケットみたいに着れそう。

くわえて、この生地は撥水性もあるみたいです。

雨に濡れるとダウンは性能が落ちるからね。

みたいですね。

ダウンって、〇〇フィルパワーとかゴアテックスとか、機能を追い求めていくじゃん。それが正しい方向性だと思うんだけど。

だからアウトドアブランドが幅を利かせているジャンルでもあるわけで。

でも、街で着るには行き過ぎてしまうことってあるじゃん。

いわゆるオーバースペックってやつですね。

その点、このダウンは全然違う方向に向いているよね。撥水性のある生地を使っているぐらいで、他に機能はなにもない。いわゆるファッションダウン。

リバーシブルにすることで、ファッションダウンという存在を勝ち得ている。

つまりリバーシブルであることが、とても重要なポイントなんですね。

うん、そうなんだと思う。

“TOO BIG”シリーズからのリリースということで、かなり大きいサイジングになっています。

大きいダウンって、なかなかないよね。

ピタっとしたフィットで着ることが正しいとされるダウンにおいて、ここまで大きいものはなかなか珍しいですね。

前に某アウトドアブランドの海外用のヴィジュアルで、ダウンジャケットを使った撮影があったんだけどさ。「大きいサイズで作りました」って言うわりに、届いたサンプルは全然大きくなかったんだよね。

やっぱりアウトドアフィールドを相手に、大きいダウンという発想自体がないんじゃないですか?

なのかな? でも昔のアウトドアブランドのダウンは大きかったよ。

あ、そういえばそうですね。

だから作ってないだけなんじゃないかな。

このダウンは、グレーディングベースで大きくして、さらにカマ(アームホールの下端)を調整したそうですね?

うん。昔のアウトドアブランドのダウンはカマが下がっていたから、これも同じようにカマを下げた設計になっているんだ。

デザインもパターンも当時物を参考にしているという点で、復刻とまではいかないものの、90年代の〈NAUTICA〉の雰囲気を纏ったプロダクトということになりますね。

そうだね。これが入ることで、やっと〈NAUTICA〉のらしさを示せるような気がするよね。

というと?

これまでにリリースしたアイテムはプレッピーだったり、どちらかというとクリーンなイメージだったじゃん。

はい。チノパンにシャツみたいな。

うん。それがブランドの本来の姿ではあるんだけど、当時人気があったのは、こっちの路線だったからさ。だから、このダウンが当時のブランドの雰囲気を伝える役割を担っている気がするんだよね。

あ、なるほど。

首裏に入っている“NAUTICA”のレタリングも懐かしいですね。

こういうダウンをよくダンサーが着ていたよね。

ときどき古着屋でこの手のダウンを見かけますが、古着に抵抗がある人もいますよね。

いるよね。

新品で着られる90s解釈のダウンとして、当時の〈NAUTCA〉を知らない若いお客さんにも手に取ってもらいたいですね。

うん。街はアウトドアブランドのダウンばっかりだしね。

それはそれでいいですけどね。

うん。でも〈NAUTICA〉と書いてあるダウンを着ているのもいいと思うんだよね。

ですね。アウトドアブランドに頼らないダウン選びというのは新鮮だと思います。