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TOO BIGのチノパン、そしてシューレースの話。

先週のシャツに続き、今週は〈TOO BIG〉シリーズからチノパンを、インラインからシューレースセットをリリースします。この2つを同時発売することに意味があるようで。その理由をお聞きするべく、長谷川さんをお呼びしたところ、話はあらぬ方向に発展。今回のMAGAZINEは、やや熱っぽくお届けします。

長谷川昭雄

ファッションディレクター、スタイリスト。雑誌『MONOCLE』や『POPEYE』のファッションディレクターを歴任後、フイナムとともにウェブメディア『AH.H』を立ち上げる。2020年〈NAUTICA〉のクリエイションディレクターに就任。

〈TOO BIG〉シリーズからチノパンが登場しました。これもシャツと同様に、2XL、3XLのサイズ感で作られています。

全体的に大きくしているんだよね。あとインラインのものよりテーパードを効かせたんだ。

それは靴とのバランスを考慮してですか?

そうだね。あと裾上げが面倒だからというのもある。やっぱり、買って、洗って、すぐ履きたいじゃん。

テンションが高いうちに楽しみたいですよね。

ロールアップしてもいいんだけど、クッションがあってもいいんじゃないかなって思って。全体的にボリュームもあるし、2クッション、3クッションぐらいの方がバランスがいいよね。

カラーは、ホワイト、ベージュ、レモンイエロー、グリーン、ネイビーの5色展開です。

〈NAUTICA〉のプロジェクトに参加したときに、すでにイエローとグリーンがあってさ。最初はどういうこと?って思ったんだけど、これらがあることで、商品としてまとまりが出た気がする。

生地はオリジナルで作られたもので、60/3(ロクマルミコ)という3本の糸を撚って作られたものです。そうすることで、しなやかな質感を持ち、しっかりと丈夫な生地になるそうです。

へー。撮影のために洗いをかけたら、すごく表情が良くなったよ。

たしかに。プレスルームに掛かっていたときと比べると、グッと顔立ちが良くなりましたね。

製品ってアイロンをかけてビシっと上げてくるじゃん。あれ要らないよね。俺はシワシワがいいのに、なんてことをしてくれるんだ!って気持ちになるよ。

洋服屋のしきたりとして、お客様に新しいものを提供する、というのがありますからね。

でも、俺みたいな人もいるからね。それが100%の正解だとは思わないけど。

ふむ。たしかに購入後の状態が売り場でイメージできるといいですけどね。

パキっとした製品の状態から、洗いをかけた状態をイメージできる人なんていないんじゃないかな。スタイリストでも無理だと思うよ。だからといって、売り場のスタッフが洗いをかけるのも大変でしょ。

たしかに。

だから、どういう状態で工場から納品してもらうかが重要だよね。ハンガー納品っていうのもあるみたいだけど、どうも高いみたいだし、畳みの納品だと段ボールに入れるから、ビニールに入れないとダメみたいだよね。それも分かるんだけど、そうじゃなくて済むような仕組みを考えていきたいね。

そうですね。無理、無駄のない方法を探っていきたいですね。

シワシワでもいいだろって話がそろそろ通用するんじゃないかな。汚れるのはまずいけど。ビニールがなくなるのは環境にもいいことだし、労働時間を減らすことにも繋がるかもしれない。

そして〈TOO BIG〉のチノパンと同時にリリースされるのが、このシューレースセットです。撮影ではベルトとしても使っていましたね。

普段から紐が入ったパンツばかり履いていると、ベルトが面倒くさくなっちゃってさ。だから、チノパンに合わせる付属として、こういうものがあったらいいんじゃないかな?と思って作ったんだ。

それで同タイミングでの発売となったんですね。

そう。靴紐をベルト代わりにすること自体、目新しさはないんだけど、これはストッパーが付いているから、このまま洗濯もできると思うんだよね。そうすれば〈TOO BIG〉のチノパンも、少し身近に感じてもらえるような気がしてさ。

ストッパーがあると脱ぎ着も楽でいいですよね。

普通に紐を結んでもいいんだけど、固結びになっちゃったりして、トイレのときに困ることもあるからね。あと、だらんと垂れている感じもいいなって思ったんだ。

シューレースにはナイジェルグラフによる〈NAUTICA〉のレタリングがプリントされています。

そう。ISSYに書いてもらったアルファベットから起こしたんだ。デタラメ感が欲しかっただけなんだけど、思いのほか、かわいい感じになり過ぎたんじゃないかって思ったんだ。でも靴に付けてみると、意外といい感じだったんだよね。

コットン製だから、ポリエステル製に比べて、結び目がほどけづらいそうですね。

うん。すぐほどけるのは嫌だよね。イライラするし。

 

75㎝と90㎝の靴用と155㎝のウェスト用で、3種類がセットになっています。靴用は紐の先端のパイプが青で、ウェスト用はパイプが透明になっていますね。

紐単体で見たとき、青のパイプがどうなんだろう?って、すごく気になってしまって。でも靴に付けてみると、この青が効いてていいなって思ったんだ。それでも青のパイプのことがずっとモヤモヤしてて。結局、色々なタイプのパンツに試してみたら、透明の方がパンツには良かったんだよね。だからウェスト用だけは透明にしようってなったんだ。

地味なパーツですけど、意外とアイキャッチが強いのかもしれないですね。

そうかもね。

チャック付きのプラスティックバッグに、この3種類のセットを封入して販売するんですね。

うん。洋服が納品されるときのビニール袋があるじゃん。あれ、すごく邪魔だよね。環境云々というより、単純に嫌いだなって。ゴミってあっという間に溜まるからさ、毎日ゴミ置き場に捨てに行くのも面倒だし。せっかくだったら、二次利用できるものの方がいいんじゃないか?ってずっと思ってたんだよね。それで、この紐に関しては、チャック付きのプラスティックバッグを作ってもらったんだ。ないと、靴紐って存在感ないし。万引きされても気づけないじゃん?

これがあることで商品らしさが出ますね。

でも、作ってから気づいたんだけど、〈WTAPS〉も、あのチャック付きのやつが納品時の袋でもあるっぽいよね。あ、でもあれを真似したわけではないからね。くれぐれも。あれは、そういうことだったのかもって、作ってみて初めて気づいた。

長谷川さんは、よくこういうプラスティックバッグを財布として使っていますよね。

うん。でも、最近はやめた。小銭が取り出しにくいから。でもこれは生地が固いから使いやすいかもね。俺はブランド財布があまり好きなれなくて。財布っていちいちブランドネームが立ってくるのが嫌じゃない? どれくらい金を持ってるかを見せつけたり、確認したり。そういう文化が前時代過ぎて嫌いだな。その精神性がダサいと真剣に思うよ。

服装はカジュアルなのに、財布になると突然ブランド物っていうのも変な話ですしね。

カッコいいかどうか、使いやすいかどうかだけで決めるべきだと思う。それに、こういうプラスティックバッグだったら、匿名性があるし、落としても気にならないじゃん。

落としたら嫌ですけどね(笑)。でも、ふんぎりはつきそうな気がします。

そう、くよくよするのが嫌だからさ。財布がなくなったとしても、だったらいいやって思って生きていきたい。

 

靴紐もそうなんだけどさ、ちょっとしたものでファッションが楽しめるってことが大事だと思うんだよね。そういうことは今後もやっていきたいな。