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2/26から開催する『ECLECTICA』by LURKの話

今シーズンのコレクションにアートワークを提供してくれたグラフィティライターのLURKさん。その作品が一堂に揃うエキシビジョンを、STACKS BOOKSTOREで開催します。そこで今回のMAGAZINEでは、STACKSの山下さんのサポートのもと、LURKさんをゲストに迎え、そのクリエイティビティに迫ってみました。

LURK

グラフィティライター。2007年よりキャリアをスタートさせる。現在、M2D、SITO、HDAといった国内外のクルーに所属。昨年2月には、〈Carhartt WIP〉のサポートのもと、STACKS BOOKSTOREとともにアートエキシビジョン『FRAME』を開催。

山下丸郎

編集者、PR、ブックディレクターを経て、ブックレーベル〈STACKS〉を設立。世界中のアート表現を、書籍やジン、エキシビジョン、アパレルなどを通じて発表する。昨年8月には実店舗となるSTACKS BOOKSTOREを渋谷神山町にオープンした。

長谷川昭雄

ファッションディレクター、スタイリスト。雑誌『MONOCLE』や『POPEYE』のファッションディレクターを歴任後、『HOUYHNHNM』とともにウェブメディア『AH.H』を立ち上げる。2020年、〈NAUTICA JP〉のクリエティブディレクターに就任。

まずはLURKさんのバイオグラフィについてお尋ねします。グラフィティを始めたのはいつ頃ですか?

2007年です。それまでもグラフィティは好きでしたけど、描き始めたのは2007年のタイミングですね。

グラフィティをやる前から、絵を描くのが好きだったんですか?

いや、どうなんだろう。グラフィティに出会ったのは中学生だったので、それより前というと、皆と変わらない感じだったと思います。

へー。

グラフィティに興味を持ったきっかけというと?

元々、英語に興味を持ち始めて、英語からアメリカ文化に興味が行って、アメリカ文化からヒップホップやグラフィティに辿り着いたっていう感じだったと思います。

始めた当初から現在のスタイルで描いていたんですか?

そうですね。その頃から今に通ずるポップなやつは描いていたので、スタイルがガラッと変わったというよりかは、やってきたことの延長線上に今がある、という感じですね。

展示会場で販売するBDシャツ。“TOO BIG”ボディをベースに、LURKさんによるタギングとスプレーのキャラクターを刺繍であしらった。18着のみの限定販売。

山下さんがLURKさんと知り合ったのはいつ頃ですか?

3-4年前ですかね。初めて会ったのは……九州のギャラリーでしたっけ?

そうですね。それ以前から、展示があるときに作品を購入してもらっていたのですが、お会いしたのはギャラリーですね。多分(グラフィティライターの)SECT氏が展示してて、そのときに来ていたんじゃなかったでしたっけ?

あ、そっか。SECTの展示をやるために、最初に自分が挨拶しに行ったんですよ。で、そのきっかけで九州の人たちに会うようになったんですよね。

お会いする前から、LURKさんのことは知っていたんですね。

知ってましたね。作品を観たのは、たしか大阪のお店が最初だった気がするんですけど、こういう人が日本にもいるんだ!って。衝撃でしたね。

テイストが日本っぽくない、と?

そうですね。東京のグラフィティシーン、特に自分が見てきたのは、わりとニューヨークのスタイルに向かっている人が多いような気がして。もちろん、そうじゃない人たちもいるんですけど。

ほうほう。

それからインスタでヨーロッパのグラフィティを見るようになって、世界が一気に広がっていったんですよね。なるほど。こういうスタイルもあるのかって。そんなときに、LURK君を知って、日本にもこういうスタイルでやっている人がいるんだ!ってビックリしました。

スタイルというのは、ポップな感じってこと?

はい。ポップの塩梅が絶妙だし、洒落てるなーって。

6パネルキャップは、フロントにスプレーのキャラクターを、バックにタギングを刺繍であしらっている。こちらも12点のみの限定販売。なお刺繍加工は、前回のイベントと同様Laugh and Sunny dayが手掛けてくれた。多謝!

実際のところ、どうなんでしょう? ヨーロッパからの影響はありましたか?

影響という話でいうと、バルセロナのHDAというチームに入ってて、スペインによく行ってるんですけど、スペインのスタイルはしっくりくる気がしますね。僕の好みにすごく合ってる、というか。

スペインのスタイルというと?

明るい色をよく使っているんですよね。あとキャラクターとかを描くのが、すごく上手で。

あれ?(自然派ワインにデザインを提供してくれた)IMONさんもスペインだったけ?

スペインですね。

そっかそっか。なんか分かる気がする。

LURKさん然り、IMONさん然り、グラフィティから連想するハードなイメージとは、やや毛色が違いますよね。

僕の中で、グラフィティってカテゴリーが2種類あって。街に描いてあるようなタグとかスローアップをボミングって言うんですけど、そういうゲーム性があるものと、文字を上手くデザインしてカッコ良く仕上げるピースっていうものがあって。

うんうん。

さっき丸さんの話に出ていたように、東京がニューヨークっぽくなるのは、街の特徴からそうならざるを得ない部分があって。東京みたいなシティでは、自ずとクイックに仕上げるような流れになっていくんだと思います。

そうですよね。ステッカーも日本の方が盛んだって言いますしね。

やっぱ東京は厳しいですよね。元々グラフィティって、いかに自分の名前を売るかっていうゲームなので、それが成立するのは人口が多いとか、街が大きいとかってことになるんですよね。逆に地方になると、街も小さいし、ちょっと外れたら、ゆっくり描けるスポットがあったりするので、街の特徴によってスタイルが変わってくるのは自然かなって思います。

なるほど!

ピースと呼ばれる、多彩な色を使って描く作品。街ではなかなか拝めない。ちなみに、そのネーミングは“傑作”を意味するマスターピースから。

さっきのピースとボムの話で言うと、グラフィティはボミングが絶対的正義で、それが一番カッコ良いと思いますけどね。やっぱり街で見るグラフィティが一番じゃないですか。

へー。そうなんですね。

ちなみにLURKさんもボミングをするんですか?

ここ数年はそんなにないですね。元々、外でガンガン描くようなタイプでもなかったので。

落ち着いた場所でピースを描くことの方が多いですか?

はい。そうなるとグラフィティの本質とは変わってくるんですよね。グラフィティってやっぱ街で見るものだと思うので。でもピースを描くのは大好きなので、それはそれで良いかなって気もしますけど。

LURKさんのピースって、すごく綺麗ですよね。これ、どのぐらい時間をかけて制作するんですか?

僕は結構早い方で、大体1時間とか1時間半って感じですね。

えっー! 早いですね。

イベントでピースを制作してもらったときも早かったですよね。1時間かからなかったような。

カッティングとかして何回も描き直して、みたいな人もいますけど、僕の場合はほとんど修正しないので。

筆運び、というかスプレー運びに迷いはないんですね。

まぁ。修正するのって面倒くさいんで(笑)。

1時間足らずで仕上げたというピース(上)。そして正方形のキャンバスに作品を収めたフレイムシリーズ(下)。どちらも昨年行われた展示『FRAME』から。

こういうのって、図案みたいなものがあるんですか?

そうですね。頭の中にイメージがあって、パッと描ける人もいるんですけど、僕は完全に下描きを作ってからやるタイプで。どっちかというと、下描きを考えるのに時間がかかってますね。

こんなに細かくキャラクターを入れ込むのって、頭使いますよね。

頭は使いますね。グラフィティなんで、まず文字を描いて、その中にキャラクターをどう入れるか?って考えて。

それこそ、最近LURK君が描いているフレームシリーズもそうですよね。枠の中にどう収めるかみたいな。

フレームシリーズ?

スクエアのキャンバスの中に文字とキャラクターを入れ込むシリーズをLURK君が描いてるんですよ。

ああ、これね。これもスゴイよね。

僕は下描きを作るのに方眼紙を使ってて、それがスタイルにも影響していると思うんですよね。

方眼紙?

はい。方眼紙に四角を作って、その中に文字やキャラクターをあてはめていく。

へー!

なるほど。この細かな構図は方眼紙によるものだったんですね。

一点物で制作したフーディーは、ネイビーボディとグレーボディの2バリエーション。フロントのスローアップを、ネイビーは刺繍で、グレーはプリントで表現している。

続いて、制作したアイテムの話を。今回マーチャンダイズとして、BDシャツとキャップ、それにフーディーを作ってみたんですが、LURKさんが気に入っているアイテムはありますか?

僕はパーカーが良かったですね。

フーディーはフロントにスローアップが入ってて、裏返すとスプレーのキャラクターがスローアップを描いている、といった凝った仕様になっていますね。

ピースを描くときって、ローラーでペンキを塗ったりするんですよね。そうするとペンキが跳ね返ってきたりすることがあって。だから、服を汚さないために服を裏返して着たりするんですよ。それに通じる部分があるなぁと思って、なんかストーリー性を感じちゃいました。

ああ(笑)。これ、裏は表のスローアップが裏返しになっているんですよ。

つまり貫通しているようなイメージですね。

全く同じ位置はプリントが難しくて、ちょっと位置を変えてて、完全に重なっているわけではないんだけど、イメージはそんな感じ。

そもそも裏地にこんな綺麗にプリントが入るんですね。

うん。プリントもそうだけど、刺繍も結構綺麗だよ。

そうですね。シャツとキャップにはスプレーのキャラクターが刺繍で入っています。

このサイズの刺繍でここまで出せるのは、すごいですね。いやー、嬉しいです。

大丈夫そうですか?

いや、問題ないです。ありがとうございます。

これまで作品をベースに洋服を作ったことはありました?

自分で、っていうのはないんですけど、デザインを渡して、それをシルクで印刷したりっていうのはありますね。

あ、この前STACKSで売ってたロンT、あれ良かったですよね。「はたらけ」って描いてあるやつ。

ヒット作ですね(笑)。あれは元々、LURK君が作ったポスターをベースにして、その要素に、新たに描き下ろしたものを追加して作ったんですよね。

メッセージが効いてますね。「はたらけ」って。

僕が買わせてもらった作品にも「はたらけ」「どにちも」って入ってて(笑)。僕も土日に撮影しているので、なんかしっくりくるものがあって。

土日も働く人たちへの応援ですね(笑)。

アルファベットではなくて、日本語のレターというのも新鮮ですね。

日本語で描く人もいるはいるけど、そんなに多くないですよね。

日本人ではそんなに多くはないかもしれないですね。僕は外国の人が分からずに書く日本語が好きなんですよ。記号として認識している感じが。

うんうん。

日本人だけど、そういうニュアンスを出したいと思っているところがあって。でも正解(の形)を知っているから、あんまり崩れないんですよね。

まあ、そうですよね。

日本語は見た目もキャッチーだし、日本語から汲み取る意味が広がっていくのが面白くて、わりと使うことが多いですね。本当はもっと崩したいんですけど。

裏返すと、スプレーのキャラクターがプリントされたフーディー。どちらも一点のみのワンオフ品。つまり、ちゃんと着られるアートピースといった趣。

今は展示に向けて鋭意制作中っていうところですか?

そうですね。スプレーのキャラクターを洋服に使ってもらっているので、新たに制作したり。

ありがとうございます。

あと正方形のフレームシリーズも作ってます。

作品を仕上げるのに時間がかかります?

僕はめちゃくちゃかかりますね。ピースを描くときと同じ要領でやっているので、納得いくまで下描きを描かないと、キャンバスに移れないという感じで。

そっか、大変ですね。

いや、でも頑張ります!

ありがとうございます。楽しみにしています!

LURK作品展『ECLECTICA』

 

グラフィティライターのLURKさんによる作品展をSTACKS BOOKSTOREにて開催します。

会場では、LURKさんによるアート作品の展示にくわえ、BDシャツや6パネルキャップ、

さらに一点物のフーディーといったマーチャンダイズをご用意しています。

 

■日時

2月26日(土)-3月6日(日)

 

平日15:00-20:00

土日13:00-19:00

 

■場所

STACKS BOOKSTORE

(東京都渋谷区神山町42-2 神山Mビル2F)

*新型コロナウイルス感染拡大防止のため、中止あるいは延期の可能性があります。

予めご了承くださいませ。