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DESCENDANTと作ったカプセルコレクションの話

昨年から発表を心待ちにしていたプロジェクトがありました。それがNAUTICAとDESCENDANTによるカプセルコレクションです。今回のMAGAZINEでは、DESCENDANTのディレクター、西山徹さんをお招きして、コレクションの全貌に迫ってみます。

西山徹

〈DESCENDANT〉〈WTAPS〉〈FORTY PERCENT AGAINST RIGHTS〉ディレクター。1993年、友人とともに〈FORTY PERCENT AGAINST RIGHTS〉名義でシルクスクリーンを中心とした活動を開始。1996年、より本格的なアパレルライン〈WTAPS〉をスタート。2014年には、次世代への繋がりをテーマに普遍的なアイテムを揃える〈DESCENDANT〉を立ち上げる。

長谷川昭雄

ファッションディレクター、スタイリスト。雑誌『MONOCLE』や『POPEYE』のファッションディレクターを歴任後、ウェブマガジン『HOUYHNHNM』とともにウェブメディア『AH.H』を立ち上げる。現在、〈NAUTICA〉のクリエティブディレクターとして携わる他、〈DESCENDANT〉〈WTAPS〉のヴィジュアル製作も担当している。

まず西山さんにお尋ねです。〈NAUTICA〉について、どんな印象を持っていましたか?

ヒップホップのシーンとペアリングしていた90年代のイメージがありますね。その時代にそういうものを見ていたので、一つのカルチャーを象徴するアイコニックなブランドと捉えていました。後に年齢を重ねてくると、海でセーリングをするような人が周りにいたので、あの頃とは違うリアルなカルチャーからリバイバルがあったという感じですかね。

今回の取り組みにあたり、過去のアーカイヴをご覧になりました?

PDFの資料を頂いたぐらいで、ほとんど見ていないですね。実物をお借りしたのは数点だったかな。

昔の〈NAUTICA〉のアイテム、どうでした?

配色とかディテールが面白いよね。「着るか?」と言われたら、ちょっと難しい部分はあるけど。今はもう絶滅しているディテールも多いし、資料性が高いんじゃないかな。

配色のバランスが特に気になりますよね。一体どういうつもりでデザインしてたのかって不思議に思うんですよね。ファッションとは違う、全く違う価値観を持った人が作っていたんですかね。だから面白いのかもしれないですが。

うん。自由に作っている感じがするよね。

(左)FLOAT 6PANEL コットンツイルによる6パネルキャップ。フロントのデザインは競技用アイテムに使用されていた、浮き輪をモチーフにしたグラフィックをリファインしたもの。8,000円+TAX

(右)PUBA POLO LS PUBA POLO LS ブルーグリーンを基調にしたラガーシャツ。両胸に〈NAUTICA〉と〈DESCENDANT〉のネームを、それぞれ刺繍であしらっている。18,000円+TAX

ではアイテムにフォーカスしてみましょう。まずはラガーシャツから。

〈DESCENDANT〉でもラガーシャツはやっていますよね。

うん、定番でやってる。だから得意なアイテムではあるんだけど、自社では出来ない配色をやらせてもらったって感じだね。

ブルーグリーンを基調にしたカラーリングになっていますね。

最近見ないよね。〈WTAPS〉のグリーンとは違う、中間色を狙った感じですね。

アイビーっぽくて良い色ですよね。

ボディは〈NAUTICA〉のレギュラーアイテムにも使われている12ozの肉厚な天竺です。

ああ、そっかそっか。これ洗っていくと良い感じになるんだよね。

そうだね。ガシガシ洗った方が良いかもね。

そして6パネルキャップ。これは白のみの展開です。

僕、白いキャップを時々被るんですけど、意外と良いですよね。ちなみに白だけというのは意味があるんですか?

マリンのイメージだど、やっぱ白なんだよね。日差しが強いからさ。

ダサくて良いですよね。

うん、鈍臭さがある(笑)。

FLOAT CREW NECK 甘編みの裏起毛スウェットを使用したプルオーバー。刺繍とプリント2種の加工を用いたフロントデザインや、ネックとボディの継ぎ目にあしらわれた〈DESCENDANT〉ネーム入りのバインダーテープなど、細部まで仕事が行き届いている。20,000円+TAX

続いてスウェットシャツです。フロントには先程のキャップと同様に、80年代のコンペディションラインで使われていたグラフィックがあしられています。が、よく見てみると、スピネーカが刺繍で、それを囲む浮き輪のモチーフがプリントになっているんですね。

プリントと刺繍のコンビネーションは90年代によくあったんだよね。

この帆のマークが最初は嫌だったんですよね。でも、段々馴染んできました(笑)。

海に行くと良く見えてくるよね。本物のセールを見たりすると。

たしかに。この前ロケハンでヨットハーバーに行ったじゃないですか。あの時、陸に上がっているヨットがいくつもあって。ヨットのカッコ良さって下から見た姿だなって思ったんですよ。宇宙戦艦ヤマトの美学ってそういうとこだったのかもですね。

下から見上げると、迫力があるよね。

バックには〈DESCENDANT〉によるグラフィックがあしらわれています。これもヨットがモチーフなんですかね?

そう。セールを図形化したデザインだね。

これ、皆絶賛してましたよ。

あ、ホント? 良かった。

くわえてカラーリングも絶妙ですね。

2色のグラフィックは、なかなかハマりづらかったりするんだけど、こういう色合いのボディとの相性は良いんだよね。

こんなブルーグリーンのボディには2色のグラフィックが映える、と?

うん。こういう中間色のボディを使うと、雰囲気が今っぽくなくなるから良いんだよね。

あ、でもそうかも。今だと、もう少しスッキリしたデザインになっちゃいますよね。

そうだね。

RP HOODY コットンとポリエステル、異なるマテリアルを組み合わせたフーディー。フードのライニングには、ラガーシャツのボーダーを使用し、さらにイエローの縁取りでアクセントを利かせている。22,000円+TAX

そして、フーディーです。いわゆるスモッグ型パーカーですね。

そうだね。ミリタリー由来のデザイン。

フードのライニングにはボーダー生地が使われています。

こういうあしらいって〈NAUTICA〉らしいよね。

くわえてポケットも複雑な作りになっています。いわゆる逆玉縁ポケットですかね?

そう、逆玉縁。こういうディテールを作るのが好きなんだけど、最近あんまり見なくなったよね。どうしても(コストが)高くなっちゃうからね。

デザインっぽいスウェットって、最近あんまりないですよね。

たしかにないね。

新鮮ですね。

フーディーのポケットの上には、〈NAUTICA〉が90年代に使用していた小文字ロゴをレイアウト。そして左腕には〈DESCENDANT〉のグラフィックを刺繍であしらっている。

ヴィジュアルがすごく良いね。

良かったです。

この首の切り替えと配色、そのブレンドだったり、出したいところをちゃんと拾ってくれている。

それは事前にやりとりがあるんですか?

いや、何も話さない(笑)。

いつもそうですね。

きっと昭雄くんとフェティシズムが同じなんだと思う。

それはあるかもですね(笑)。

首元のこなしは西山さんが特にこだわったディテール。それをしっかりヴィジュアルで押さえる長谷川さん。息の合ったコンビネーションは、2人の信頼関係があってこそ。

最後はブルゾンです。パッチワーク状にパーツを構成した、手の込んだ設計になっていますね。

形はシンプルなブルゾンなんだけど、切り替えがとても複雑で。机上では出来るんだけど、縫製で色々な弊害が出てくるので、ちょうど良いところを探る作業だったね。

これ撮影していて気づいたんですけど、右袖がセットインで、左袖がラグランみたくなっているんですよね。厳密には違うんですけど。

そう。切り替えの位置でアシンメトリーになっている。

だから胸のグラフィックも微妙にシワの入り方が違うんですよね。

そうだね。

TIDE PES SWITCHING JACKET パーツをパッチワーク状に継ぎ合わせたブルゾン。ステッチの陰影やパーツのカラー違いにより、見応えのある面構えに仕上がっている。38,000円+TAX

くわえて微妙に色合いが異なる2色のグリーンを使われています。このペアリングにも苦労したそうですね。

うん。「見て」良い色と「着て」良い色があるからね。(配色を考えると)色々やりたくなっちゃうんだけど、着るには難しかったりするから、そこは抑えたりして。

そしてパーツを繋ぎ合わせるステッチがジグザグになっています。

いつもセーリングの帆を使ってルックを撮っているんですけど、帆がジグザグのステッチになっているんですよね。撮り終わってから気づいたんですよね。あ、これだったんだ!って。

うん。このステッチを使っているアーカイヴがあってね。それをモチーフにしたんだよね。

帆をジグザグに縫うのって、どういう意味があるんですかね?

デザインチームによると、生地と生地の継ぎを滑らかにする意味があるのでは?と言っていましたが。

どうなんだろうね。あと補強もあるのかもね。

強度が保たれるんですかね。どこから引っ張られてもいいように。

あるかもね。風向きもあるだろうし。このブルゾンに関しては、意匠的なステッチにはなるんだけど、デザインとしてすごく効いているよね。

スタイルは〈DESCENDANT〉のベーシックなブルゾンを踏襲。「やっぱり〈NAUTICA〉の真髄はブルゾンだと思うから、徹さんに作ってもらって良かった」と長谷川さん。

僕は襟のフードが入っている感じが好きなんですよね。このボリュームが良かったりしますよね。

分かる。そうなんだよね。

なんなんですかね。ヨットカルチャーにおける意味があるんですかね?

セーリングブランドだとフードがあるのがスタンダードだよね。

なるほど。

アルパインブランドだと、フードを付けるか、省略するか、どっちかなんだけど、その中間を狙って、しまっておく仕様にするのはどうだ?っていうアイディアは、90年代よくあったんだよね(笑)。〈WTAPS〉でもよくこういうデザインを作っていたし、そこを拾ってくれると嬉しいな。

たまに被れないフードとかありますよね。せっかく出したのに被れないのかよ!って(笑)

一同笑

フードが収納されたボリュームのある襟部分。裏地にはオレンジのアレンジを利かせている。ちなみにフードはもちろん使用可能。2つのアジャスターを走らせた本格的な作りに。

以上が今回のカプセルコレクションのラインナップになります。

いや、でもさすがですね。普段僕らが作っているものとは、全然違うものになっている。

ああ、そう?

僕は過去の〈NAUTICA〉を否定して作っているところがあって、今の〈NAUTICA〉は、わりとソリッドの服を作っているんですよね。だから、この辺のノリを入れたいと思っていても、なかなか入れられないんですよね。

今の〈NAUTICA〉ではタッチしていない部分ですよね。

うん。ただの焼き直しになってしまっても、今の時代感にはめ込みにくいだろうし。だから、そこを上手くアレンジさせていく作業になるんだけど、そういうのってなかなか難しいんだよね。

うんうん。

でも本当の〈NAUTICA〉は、ソリッドというよりマルチな配色だったり、複雑なディテールだったりしたわけで、それを徹さんが形にしてくれたのは良かったなって。

そう言ってもらえると良かった。

発売が楽しみですね! 今回もありがとうございました!

■抽選ページはこちら
2021年1月13日(木) 0:00〜 抽選開始

 

■DESCENDANT 販売情報
2021年1月13日(木) 12:00~
https://www.descendant.jp/