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2021 SPRING/SUMMERのこと(前編)

いよいよ1月30日(土)から〈NAUTICA〉の春夏コレクションが店頭に並びます。そのラインナップから、ディレクターの長谷川さんの目に留まったアイテムをレビューする「2021 SPRING/SUMMERのこと」。前編となる今回は、なにかと使えそうなアウターがテーマです。

長谷川昭雄

ファッションディレクター、スタイリスト。雑誌『MONOCLE』や『POPEYE』のファッションディレクターを歴任後、フイナムとともにウェブメディア『AH.H』を立ち上げる。2020年、〈NAUTICA〉のクリエイションディレクターに就任。

今回のMAGAZINEでは、〈NAUTICA〉の新作コレクションから、長谷川さんの気になるアイテムをピックアップしてもらいます。

はい。よろしくお願いします。

まずはステンカラーコートです。生地に撥水機能を持ったコットンギャバを使っているので、レインコートとしても使えそうですね。

最初これを見たとき、あまり〈NAUTICA〉っぽくない気がしてさ。「要らないんじゃないですかね?」とか言ったんだけど。

〈NAUTICA〉っぽくない、というと?

ちょっと大人っぽいかな?って気がしたんだよね。でもデザイナーさんが「フードを付けたら、いいんじゃないですか?」って提案してくれて。それなら、いいかもねってなったんだ。

それでフードを付け足したんですね。

うん、着脱できるフードを付けた。

フードのスピンドル(ヒモ)は、スウェットフーディーと同じく、ホワイト×ネイビーのタイプを使っています。この味付けも効いていますね。

ポップな印象になったよね。フードを取れば、普通のステンカラーコートとしてシックに着られる。どっちにも使えるからいいなって思ったんだ。

上手く着地しましたね。

最初はどうなんだろう?って思ったけど、今は結構気に入っているよ。

こういったアイテムがあることで、〈NAUTICA〉のラインナップに幅が生まれた気がします。

過去にとらわれすぎても、ただの焼き直しになっちゃうからさ。こういうものも作る意味はあると思うんだよね。

春先に羽織るには丁度いいですよね。

俺、こういう薄手のコートを着ないからさ。春用のコートってなんなんだろう?って思ってたんだけど、最近やっと意味がわかってきた

最近ですか!(笑)

うん。イギリスの服装って、薄手のアイテムをレイヤードする文化じゃん。

アメリカとは違いますよね。

アメリカは、Tシャツにダウン、以上。って感じだよね。でも、シャツを着て、セーターを着て、ジャケットを着て、そしてコートを着るっていうイギリス的な構造だと、体温調節が楽でいいよね。

Tシャツにダウンだと、暑くても脱げないことがありますよね。

あと手持ちのアイテムを生かして、コーディネートを組むから、ワードローブにある服を有効活用できると思うんだよね。

あ、なるほど!

そんなことを考えると、薄手のコートも理にかなっているんだなって気づいたよ。これもさ、春用に作られたコートではあるけど、レイヤードをしていけば冬でも使えると思うよ。

作りが大きいので、肉厚なスウェットやフリースを中に忍ばせても問題なさそうですね。

うん。スーツの上でも大丈夫だと思う。フードを取れば、冠婚葬祭とかにも使えるんじゃないかな。

続いては、コーチジャケットですね。

前々からコーチジャケットを作って欲しい、とお願いしていて。そしたら、セットアップで作ってくれたんだ。

裾をギュッと絞って着る感じがいいですね。

そう、裾を絞ればブルゾン丈になる。やっぱり〈NAUTICA〉の真髄はブルゾンだと思うから、ジャケット丈ではなくてブルゾン丈で着られるアイテムがあった方がいいよね。

画像ではわかりませんが、中の仕様がとても贅沢なんですよね。裏地がメッシュ貼りで、さらに大判のプリントがあしらわれています(と書いても、上手く伝わらないと思うので、商品画像をご覧になってください)。

過去のアーカイヴにこういうのがあったみたいだよ。

表からは見えない、というのが粋ですよね。

うん。ブリッティシュのスーツとか、日本の学ランみたいだよね。

はい、奥ゆかしさを感じます。

裏返して着てもいいと思うんだよね。昔、〈COMME des GARÇONS〉でもそういうのあったじゃん。

裏地やポケットのスレーキを表に出して着る、みたいなのありましたね。

あれ、カッコよかったよね。そういうのが好きな人は裏返してみてもいいんじゃないかな。

さっき長谷川さんがチラっと言っていましたが、共地のパンツもあるんですよね。

うん。セットアップで着ると、ジャージっぽくなる。

素材にナイロンではなく、ポリエステルを使っているせいか、品良く映りますね。

昔、ジャージのセットアップをよく着ていたんだけどさ。その日、会う人を考えておかないと、ジャージはややこしいことになるよね。

ややこしい?

スポーツしている人? ファッション? みたいなさ。

いわゆる“スポーツジャージ”だと、そういうことになりますよね。

あとジャージって合わせづらいよね。例えば、今日の俺の格好(フリースのセットアップにコート)もさ、一歩間違えれば駅伝の監督みたいじゃん。しかも座敷に上がると靴がないからますます体育っぽさが強くてさ(笑)。今日は撮影だから、 まぁいいかってなるけど。

このセットアップは、そういう見え方にはならないから、着やすいと思うよ。

なかでもパンツは使いやすそうですね。足元も選ばなそうですし。

うん。スニーカーもいいし、〈Clarks〉とかレザーシューズもいけると思う。

あと気になったのが、ポケットからチラッと見えるストラップです。

そう。このパンツはキーチェーンが付いているんだ。なんで、こういう話になったのか覚えてないけど、あると便利だよね。

年1で家の鍵を落とす自分には、有難いディテールです。

2021 SPRING/SUMMERのこと(後編)は、2月17日(水)に公開予定です。お楽しみに。